委員の中に道路建設において利害関係のある業界の出身者が含まれていたり、改革対象者である公団や国交省側から事務局としてメンバーが送り込まれていたことなどによって、委員会の議事進行は極めて困難なものとなった。
道路関係四公団の民営化が議論されるようになったのは、
日本道路公団をはじめとする
特殊法人の実態が明らかになってきたからであった。
特殊法人は、
特別会計という
国会の決議を必要としない予算から多額の補助金を受けていたが、国民の監視が十分に行き届かないところで
認可法人、
財団法人、
社団法人、
ファミリー企業などを傘下に多数増殖させ、これが
官僚の
天下りの受け皿として利用されていた。その結果、それらの業界では
談合が横行し、またコスト意識ゼロの放漫経営によって国民の利益を大きく損なっているという実態が明らかになってきた。その最たる存在が
国土交通省所管の
道路関係四公団だった。また、公団が建設する高速道路は自民党道路族といわれる
族議員の
利権の源ともなっていた。高速道路建設は国民の知らないところで官僚と族議員によって決められていたが、
道路族議員は高速道路という
公共事業を地元へ誘致することによって自らの実力を示そうとした。すなわち道路という
公共財が地方への隠れた資源配分として政治的に利用されていたのである。こうした政・官・業にまたがる癒着構造が無駄な道路――いわゆる政治的道路を生み出し、やがて社会問題化していった。これら一連の利権構造は財政健全化を妨げる大きな障害となっていた。
民営化したにも関わらず高速道路の私有財産化や通行料の徴収による利益の追求は許されなかった。このため、2004年
1月27日には
日本経団連会長の
奥田碩は「利益が出ないような民間会社はありえない」と言い不満を表明した。また、日本道路公団の管理する高速自動車国道は、建設費用を償却後無料で開放するとされていたが、民営化は高速道路が永久に有料化されることが前提となっている、という批判もある。そもそも道路関係四公団は「社会的には有用な社会資本ではあるものの、現在の財政状況では即時の建設が不可能であるため、民間資金を借り入れることによって建設し、また建設された社会資本は将来的にも活用可能であるため、現在世代から、その便益を享受できる将来世代間での間で費用負担してもらう」という理念の下、「建設及び借金の返済」を行う組織であった。単なる「借金返済組織」では民営化すること自体が困難な話である。家計に例えれば、個人の住宅の建設とローン返済を引き受ける「会社」を設立するようなものである。もちろん、居住者からローンの返済額は毎月受け取るものの、受け取り総額=ローン+利子総額のため一切の利潤は無く、しかもローン完済後はその住宅を居住者に無償で引き渡すようなものである。このような「会社」では、民営化しえないため、ローン完済後の住宅引渡しをやめる(すなわち民営会社が永久に通行料を得ることが出来るようにする=賃貸物件化)ことによって民営化を行ったのである。