物権とは、
物を直接排他的に支配する
権利をいい(対世的効力)、
債権のように個人間の契約等に基づいて権利関係を自由に規定できるが、その効果は相手方にしか及ばない(対人的効力)とは異なり、非常に強い権利であって、それを認めるには、
民法に規定された10の権利など、法律上で規定することが求められる。また、ある物に対し、同一の物権は同時に存在しないとされ、これと共に、ある物権は特定の物の上にのみ存在するという。この双方から、「
一物一権主義」が基本とされる。
債権は「契約自由の原則」(
私的自治の原則)から、同一物を目的として複数の設定が認められ、それらの優劣は、専ら
債務不履行による契約当事者間の関係によって解決されるべき問題なので、
公序良俗、
強行法規に違反しない限り、同一物を目的とする複数の債権設定は可能だが(例. 二重売買は、各々の契約自体が無効になるものではなく、一方を履行すれば、もう一方は履行不能となり、債権法的解決が図られる)、物権の設定は、例えばあるものに関する所有権が複数存在したのでは、所有権における排他的支配という権利の本質に反することになるから、これを解決する必要が生じる。この方法の一つが
公示であり、同一物に関し、物権を主張する者が複数いる場合、その対抗関係は公示の有無、先後によって解決されることになる。
以上の10個が法定物権で、法令によらず(ただし、慣習法を含む)、これ以外の物権を造り出す合意をしたところで、一般的効力が認められることはない。例えば、ある果樹(
立木)に対して果実のみを採取する権利(果実採取権と仮称する)を設定し、それを第三者に対して
明認方法を施したとしても、その果樹の所有者が代わった場合、新たな所有者の善意悪意にかかわらず、その者に対して果実採取権を主張することはできない。