浄化槽 wikipedia|無料辞書
浄化槽(じょうかそう)とは、
水洗式便所と連結して、屎尿(
糞および
尿)や雑排水(生活に伴い発生する汚水(
生活排水)を処理し、終末処理
下水道以外に放流するための設備である(
浄化槽法より)。
現在の法律(平成13年改正以降)で「浄化槽」と言えば「合併処理浄化槽」のことを指す(なお、法律改正前に設置されている単独処理浄化槽については「浄化槽とみなす」(みなし浄化槽)と分類している)。
また、浄化槽の目的として、旧法(改正以前)、および「
廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(浄化槽法施行前は同法が浄化槽について、監理していた。)では、汚水の
衛生処理(
伝染病の予防、蔓延の防止等)を目的としていたが、現法ではこれと併せて
環境保全についても目的としている。
汚水の処理には、みなし浄化槽および小規模槽については、沈殿による固液分離と
嫌気性と
好気性の
微生物の浄化作用を利用している。中、大規模槽については、汚水中に含まれる固形分の徐さ機能と流量調整機能、および
好気性の
微生物の浄化作用および沈澱による固液分離を利用している。また、一部の浄化槽では、「ろ過」、「凝集」及び循環による脱窒機能等を用いて処理水質の高度化を図っているものもある。
◆ 処理方式
◇ みなし浄化槽(単独処理)
屎尿(便所からの汚水)のみを処理するもので、
生物化学的酸素要求量(BOD)除去率65%以上、放流水のBOD濃度90mg/L以下であることが定められている。
建築基準法の「屎尿浄化槽構造基準」の改定時期により、旧構造基準(昭和44年〜56年、それ以前に設置されたものを含む)、新構造基準(昭和56年〜)に分類される。(現在「構造基準」は、「建築基準法」の改正により「構造方法」(構造例示)として、構造の一つの方法として分類されている。)
平成13年(
2001年)4月1日以降の新設が禁止され、平成18年2月の法律改正時に浄化槽の定義が変更されたことに伴い、構造基準より削除された。
なお、既設のみなし浄化槽(単独処理)については、下水道等の計画が無い地区に設置されているものについては、浄化槽(合併処理)への転換を図る事を努力することが求められている(浄化槽法附則)。
旧構造基準型
主な処理方式
・ 平面酸化方式
・ 散水ろ床方式
固液分離装置の「腐敗室」と水処理装置の「散水ろ床」(砕石等を充填し、その表面に生物膜を形成し水を処理する方式。均等な散水を確保するため、上部に樋を設置し樋の切り欠き部より、腐敗室よりの流出水を均等に散水する。)及び「平面酸化」(平面的に配した流路に生物膜を形成し、腐敗室よりの流出水を流路中で処理する。)を持つ。機械装置を持たないため容量が大きく取られている。腐敗処理を伴うため発生する臭気の拡散と槽内の通風を確保するため、臭突を設置する。槽の容量確保のため、処理装置を深くするため放流側にポンプを持ち放流する場合がある。
・ 全曝気方式(全ばっ気方式)
・ 分離曝気方式(分離ばっ気方式)
固液分離装置の「沈澱分離室」と水処理装置の「曝気室(ばっ気室)」及び「沈澱室」を持つ。水処理装置に「曝気装置(ばっ気装置、空気を送り込むブロワーと散気装置)」を設置し、常時曝気することにより処理の効率化を図り、装置の小型化に貢献している。
なお、全曝気方式は「沈澱分離室」を持たない。
旧構造基準の装置は大型化への対応や、安定した処理水質の維持、使用ピーク時の対応が難しい状況があった。また処理に伴い臭気が発散する状況があるため、
良好な水質の維持できる処理方式の選定や、槽容量の大型化を含めた構造基準の改定が行われた。
新構造基準型
主な処理方式
・ 分離曝気方式(分離ばっ気方式)
・ 分離曝気方式(分離接触ばっ気方式)
固液分離装置の「沈澱分離室」と水処理装置の「曝気槽(ばっ気槽)」及び「接触曝気室(接触ばっ気室)」及び「沈澱槽」を持つ。なお、「沈澱分離室」容量は旧構造基準のものに比べ大きく設定している。
水処理装置の「接触曝気室(接触ばっ気室)」は、曝気室内に「接触材」を充填し、生物膜を形成し処理を行っている。(分離曝気方式の曝気室に比べ小型である。)
◇ 浄化槽(合併処理)
屎尿と併せて雑排水(生活系の汚水)を処理するもので、現行の法律ではBOD除去率90%以上、放流水のBOD濃度20mg/L以下(浄化槽法施行規則より)であることが定められている。なお、「小型合併処理浄化槽」(5〜50人槽)は昭和63年に構造基準に追加されたものである。
過去には、BOD濃度60mg/L以下,30mg/L以下のものの構造が定められていたが、平成18年2月の法律改正に伴い構造基準より削除された。
また、旧構造基準時は大型槽に限られていた。
また設置地域の規制により、より厳しい放流水のBOD濃度や、BOD以外の水質項目(窒素、リン、COD)について水質を求められる場合があり、性能として示されている処理方式もある。なおこの場合、吸着やろ過、凝集処理などの物理処理が生物処理に付加して設置し処理を行う。
処理方式として、「構造基準方式」と「性能評定方式」に分類される。
構造基準方式
装置内に構造基準に定められた、構造、容量、名称の単位装置を配置して槽を構成している(容量については槽の構造上、構造基準で定められた容量より大きく設計されているものもある)。
主な処理方式として
・嫌気ろ床接触ばっ気方式(小型)
・分離接触ばっ気方式(小型)
・接触ばっ気方式(新)
・長時間ばっ気方式(旧、新)
・標準活性汚泥方式(旧、新)
(小型):小型(小規模)合併浄化槽として構造基準に追加して、定められているも(新構造基準)
(旧):旧構造基準時に構造基準として定められていたもの
(新):新構造基準として、構造基準に定められているもの
小規模槽(小型合併浄化槽)の構造として、前処理装置の「嫌気ろ床槽」・「沈澱分離槽」を持ち、水処理装置の「接触ばっ気槽」及び「沈澱槽」を持つ。ばっ気槽及び沈澱槽より「汚泥返送装置」を持ち、水処理装置以降に堆積した汚泥を前処理装置に戻す構造となっている。(初期の頃のものは汚泥返送装置を持たないものもある。)
中規模、大規模槽の構造は、前処理装置に「沈殿分離槽」および「流量調整槽」+「汚泥貯留槽」を持ち以降の処理装置は小規模以降と同様の装置を持つ。なお、旧構造の装置では、流量調整槽を持たないものもある。
性能評定方式
処理を構成する単位装置の構造、容量、名称は、製造メーカーが独自に設計し、「性能評定」を行い認可、製造されている(構造基準上では「第13構造」(個別認定)として定められていたものである)。建築基準法の改定により製造、設置が可能になった。
近年製造、設置されている製品の殆どは性能評定方式に依るものである。
現在、性能評定の実施機関は財団法人日本建築センターが行っている。
主な処理方式
・担体流動生物ろ過方式
・回分活性汚泥法式
・膜分離活性汚泥方式
※処理方式の名称は各製造メーカーが独自に定めているため、上記の名称とは必ずしも一致しない。
性能評定方式の槽の総容量は構造基準方式に比べ80〜50%程度である。
派生型として、高濃度対応型(ディスポーザー汚泥対応型や主に屎尿汚水のみの流入対応型)のものもある。
小規模槽
前処理装置の「沈澱分離機能」の固液分離機能の向上を図るため、「ろ過機能の向上」(充填ろ材の汚泥捕集性の向上)、「ピークカット流量調整機能」(設計流入水量の5〜20%程度の水量を固液分離槽内に一時貯留し、水処理装置へ定量移送)を用いている。
水処理装置に「担体」(小型(1cm3程度)のプラスチックの管体やスポンジなど)を充填し、曝気攪拌による生物処理を行っている。表面積が大きいため付着生物量が多く、効率的な処理が行える。また、装置内には静止部を設け、ろ過機能を併せ持ち固液分離を行う。処理に伴い発生する汚泥は、静止部下部より循環装置および汚泥移送装置により前処理装置へ移送・貯留する。
また、曝気装置にタイマーを設置し、自動運転にて「ばっ気と循環」・「逆洗と汚泥移送」の切り替えを行い処理性能を維持しているものもある。
中規模槽
固液分離機能(小規模槽と同様の機能)または流量調整機能(設計水量の50%程度の水量を貯留し、定量的に水処理装置に移送する。)と水処理装置(主に担体流動生物ろ過)を組み合わせ、処理装置を構成している。
100人槽程度までは固液分離機能、それ以上は流量調整機能を採用する場合が多い。
大規模槽
流量調整機能と併せて、水処理装置内の組み合わせとして
?活性汚泥+液中膜(RO膜)を充填し、吸引ろ過により処理を行う。
?活性汚泥+回分処理(ばっ気槽をばっ気工程、沈澱工程、排出工程と制御し処理を行う。)
?担体流動生物ろ過(小型、中型槽と同様の構造のもの)
を組み合わせたものもある。
また?、?については処理工程中に脱窒槽を設置したものや、水処理薬剤を直接水処理装置内に添加する事により、処理性能の高度化を図っているものもある。
なお、構造基準方式とは「施工」、「維持管理」、「清掃」の方法が異なるため、製造メーカーは「施工要領書」、「維持管理要領書」を発行し、その実施方法を提示している。
◆ 材質(駆体)
近年製造されるものの殆どがプラスチック製(
FRPやジシクロペンタジエン(DCPF)等の材質)で一体形成される(槽を上下または、左右に分割して成形し、内部装置(隔壁、ろ材、配管など)を配置し、張り合わせ整形する)。
成形方法は、スプレーアップ式か、プレス式で行われている。
大型槽については、FRPの管体に内部装置を配置した構造となっている。
また、大型槽や散水ろ床、平面酸化については、
RC製のものやボックスカルバート製で施工されているものがある。
◆ 人槽
処理能力の単位で、何人用のものかを示す。最小のものは「5人槽」(浄化槽、みなし浄化槽とも同じ)であり
・浄化槽:1.0 m³/日(一人当たり一日水量0.2m³、流入BOD濃度200mg/L)
・浄化槽 page1
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