一般的には、字を書くことが上手なこと、また、その人のことをいう。優れた書作品の意として使われることもある。日本で
書法の
教授を
職業とする「書家」が現われたのは
江戸時代中期以降とされているが、それまでの書家が存在しない時代、書の上手な人を
手師・
能書・
手書きと称した
[書道用語一覧#手を参照]。『
万葉集』の中で「羲之」や「大王」を「テシ」(手師)と読ませ、
王羲之を能書の
代名詞としていた。今でも歴史上の書人を能書・能筆と称している。
書の名家は、
後漢の
張芝、
魏の
鍾?、
東晋の
王羲之・
王献之である。王羲之は、「
多くの名書の中で、鍾?と張芝は群を抜いてよい。その他は観るに足りない。」という。そして、鍾?と張芝が歿して、羲之と献之がこれを継ぐことになる。羲之はまた、「
わが書を鍾?と張芝に比べると、鍾?には拮抗する。しかし、張芝の草書は、いまなお雁行[雁行(がんこう)とは、先に立って行くこと。]する。」といっている。鍾?の
楷書、張芝の草書を王羲之のそれと比較した場合、羲之の各々の書体は鍾?・張芝に勝っていないが、羲之は各書体に通じているという点で卓越している。王献之の筆跡は、羲之の書法をほぼ伝承していると思われるが、そうでない面も色々な逸話が物語っており、献之が羲之に及ばないのは疑いない。
[『書譜』の一部分を要約]