厚生経済学の第一基本定理は、消費者の
選好が局所非飽和性を満たせば、競争均衡によって達成される配分はパレート効率的である、というものである。局所非飽和性とは、どんなにわずかにでも消費量の増減が許されるならば、より好ましい消費量を実現できるという仮定である。また
厚生経済学の第二基本定理とは、局所非飽和性に加え選好の凸性などのしかるべき追加的条件の下で、「任意のパレート効率的配分は、適当な所得分配を行うことによって競争均衡配分として実現可能である」というものである。この定理は、1950年代に
ケネス・アロー(
1921年-)と
ジェラール・ドブルー(1921年-
2004年)が厳密な数学的証明を与えた。
このような見方に基づいて、パレート効率性を達成するためには、特に政府は経済に介入すべきではないという結論が引き出される事が多い。但し、このような政策を正当化するには、競争均衡が実体経済で実現するという想定が適当か否かを考える必要がある。例えば、
完全競争の想定は適当であるか、私有制が確立しているのか(所有権の明確性)、なんらかの要因で市場は欠けていないか、経済に競争均衡が存在する為の条件がみたされているのか(規模に関する収穫非逓増、選好の凸性など)などについて検討する必要がある。また、
外部性や
公共財がある経済は、古典的な私的所有制経済には含まれないため、この定理の大前提は成り立たず、競争均衡は一般にパレート効率性を達成しない(このような状態を
市場の失敗という)ことにも注意しなければならない。